出版科学研究所によれば、2024年の書籍と雑誌を合わせた紙の出版市場は2019年比19%減の1兆56億円でした。ピークの1996年と比べると、4割以下になっています。少子化などで紙の出版市場は今後も縮小する公算が大きくなっています。
日本の書店は、委託配本制度により返本が自由にでき、在庫リスクが少なくなっています。品揃えを取次会社に任せる中小書店も多く、店主が積極的に取り組まなければ、周囲の競合店と違いを出すのは困難です。競争力が無ければ収益は上がりません。日本の書店の粗利益率は平均約22%と、中小企業の小売業の平均の約29%を約7ポイントも下回っています。日本出版インフラセンターの調べでは、全国の書店数は1万417店と、約20年でほぼ半減しています。
デジタル化で紙の出版市場が5年で2割縮小するなか、中小の書店が客に本を手に取ってもらうサービスに力を入れています。著者の本音に切り込む座談会を開いたり、店主が客に読んでもらいたい書籍を1万円分選んだりします。面白い本を見抜く目利きを武器に書店のファンをつくり、売上高の維持や減収率の抑制を目指しています。
(2025年11月26日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)









