終末期の医療費については、死亡前の1か月にかかった入院医療費は、年間の死亡者全体でも8,000億円程度であり、一般診療医療費である約23兆円の3.5%程度です。日医総研の調査によれば、2007年の75歳以上の後期高齢者の死亡前30日以内の1人当たりの入院医療費は、全体平均で約63万円です。入院期間別の分析では、7日未満のグループでは約16万円、30日から90日のグループでは約87万円と最も高い結果でした。
70歳以上の高齢者の死亡前30日以内に使われた入院医療費は、高齢者医療費全体の3.4%と推計されています。終末期の患者に、医療費全体の何割ものお金が使われているのではないかとの誤解が一部にあるようです。死亡1か月前の医療費には、救急などの費用も含まれていると考えられることから、がんや慢性の病気で亡くなる患者に使われた医療費は、さらに少ないとみられ、実際には1~2%程度と思われます。
(2019年3月28日 読売新聞)
(吉村 やすのり)