経済的格差の指標としてのジニ係数

経済的な格差を示す指標は様々ありますが、ジニ係数はよく用いられます。ジニ係数とは、平等ならゼロで、格差が大きくなるほど1に近づきます。所得の低い人から高い人に横一列に並べ、所得の累積割合をグラフに描けば、完全に平等なら傾斜45度の直線を描きます。高所得者が一部に偏っている場合、ゆがみの大きい弓形を描くことになります。このゆがみを利用して計算します。
相対的貧困率も、所得格差を示すもう一つの指標です。所得の中央値の半分の金額を貧困線と設定し、そこを下回る人の割合で計算します。ジニ係数も相対的貧困率も世帯人員を調節した上で、年金や税金などを反映した所得再分配後の等価可処分所得で計算します。トップ1%や10%のお金持ちが、国民全体の資産をどれだけ持っているかなども不平等の指標として使われます。
日本のジニ係数は1980年以降緩やかに上昇していますが、足元では上昇は止まりつつあります。所得差が大きい高齢者が増えれば格差は拡大しやすくなる一方、雇用環境の改善は格差是正につながります。他方、シングルマザーや就職氷河期世代の低所得や貧困も、経済格差を見る上では重要な論点です。

(2021年10月16日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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