統合型GIS(Geographic Information System)とは、地理情報および付加情報をコンピューター上で作成するシステムで、情報を共有することで、自治体職員の業務の効率を大幅に改善することができます。全1,741市区町村の6割が導入しています。市区町村別活用度は、まちづくり政策に生かす岐阜県大垣市が首位となっています。
都道府県平均は茨城県の57.7点、岐阜県の49.4点が上位となっています。全国平均は23.5点にとどまり、導入自治体の間でも活用度に大きなばらつきがあります。岐阜県は一括運用によって、計42市町村が独自に導入した場合の維持管理費に比べて、各自治体の負担分を平均20分の1の約50万円に抑えています。茨城県は固定資産税算出用の航空写真をまとめて発注し、コストを約4分の1としています。
統合型の必要性が強く認識されたのは、1995年の阪神大震災です。日本は約200年前の伊能図に代表されるように、かねて高い精度の地図を作製してきました。しかし行政内で多様な地図が乱立してきたため、被災時に消火栓位置など基本情報の把握遅れにつながり、広域支援に支障をきたしています。自治体のサイトを通じて、住民や事業者にも様々な地図情報を提供し、災害時や事業計画の立案など幅広い分野で役立っています。
(2023年2月11日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)