緊急避妊薬の市販薬としての販売

 厚生労働省の専門部会が、医師の処方箋がいらない市販薬としての販売を了承しました。パブリックコメントを経て、正式に承認されることになります。正式承認までに3、4カ月かかるのが一般的で、年度内にも薬局で購入できるようになる可能性があります。

 薬局などで処方箋なしで買えるようになるのは一般名レボノルゲストレルという緊急避妊薬です。1999年にフランスで販売が始まり、日本では2011年にあすか製薬がノルレボ錠として販売しました。性交後72時間以内に服用することで、8割の確率で避妊できるとされています。

 これまで緊急避妊薬を使うには、医師の処方箋が必要なため、医療機関を受診しなければなりませんでした。年間のべ40万人前後が緊急避妊薬を使っているとされますが、受診がハードルとなり、本当は使いたかったのに使えなかった人も多くいるとみられます。薬局では、薬剤師との対面で購入し、その場で服用しなければなりません。インターネットなどを通じた販売は認めません。年齢条件はなく、親の同意も必要としません。

 世界では約90の国と地域で、医師の処方箋なしで緊急避妊薬を薬局などで購入できます。緊急避妊薬は、WHOの必須医薬品に指定されており、日本は性と生殖に関する健康と権利について、海外に比べ遅れていると指摘されてきました。妊娠を望まない女性が性交渉後にできる最後のセーフティーネットで、早く服用するほど効果は高く、アクセスが良いことは大切です。

(2025年9月1日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

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