総合診療医とは

昨年度から、初期研修を終えた医師が専門性を身につけるための専門医制度が新しくなり、内科や外科の専門医などと並んで、総合診療専門医が加わりました。総合診療医が新しい専門医に加わった背景には、進む高齢化があります。高齢者の大半の健康問題に対応するためには、疾患ごとの高度な医療よりも、バランスの良い医療のほうが必要となります。患者ごとに総合的な医療を提供する医師が、求められるようになってきています。
総合診療医は大きく2つに分けられます。一つは、小規模な病院や、まちの診療所などにいる家庭医としての役割で、地域の一次医療を担います。どんな病気も診て、訪問治療もします。もう一つは、病院内の総合診療科や総合内科などにいる病院総合医です。例えば、骨折で入院しても糖尿病や心不全、認知症にもなっている患者もいます。体全体をケアできる病院内主治医のような役割を果たします。また別の専門医につなげる役割も担っています。
何でも診ることに加え、医療安全や感染制御、栄養管理などの幅広い知識をもつ医師を育てることが大切です。いろんなことを知っていて、患者が安心して頼れる存在が理想的な総合医です。新しい専門医制度による総合診療専門医は、少なくとも3年間のプログラムを経て、2021年4月から、こうしたまちの診療所や病院内の総合診療科などで活躍することが期待されています。

(2019年5月22日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

カテゴリー: what's new   パーマリンク

コメントは受け付けていません。