緑内障は、眼球内部の圧力(眼圧)で、目の奥にある神経が傷つけられ、次第に視野が欠けていく病気です。眼球の中の房水という液体がうまく排出されず、眼圧が異常に高くなって起きる場合もありますが、眼圧が正常の範囲内で発症することも多くなっています。国内には約465万人の患者がおり、40歳以上の20人に1人とされています。子どもや若者でも発症する場合もあります。日本人の失明原因の4分の1以上を占めています。
緑内障の進行を防ぐのに重要なのが早く見つけることです。症状を自覚するのが難しいことから、専門家は40歳を過ぎたら定期的に調べるように勧めています。診察では、眼圧の測定や視野の検査、眼底の観察などで病気の状態を見極めます。中でも近年、光干渉断層計(OCT)を活用することで、早期に発見できるようになってきました。改訂診療ガイドラインにもその意義が解説されました。緑内障では、視神経の損傷が始まった直後は視野は欠けません。OCTは視野欠損は起きていないが、神経の損傷は始まっている初期の状態が把握できます。
治療は眼圧を下げて、視神経の損傷が進むのを防ぎます。しかし、一度欠けた視野は戻りません。病気の進行を遅らせて、視野がさらに欠けるのを防ぎます。眼圧を下げる薬には、プロスタグランジン関連薬、交感神経β受容体遮断薬など、作用によりいくつもの種類があります。薬で眼圧が下がらない時は、手術して房水を排出しやすくすることもあります。きちんと点眼すれば、多くの場合進行を抑えることができます。
(2019年3月13日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)