国は2018年の第3期がん対策推進基本計画で、緩和ケア提供体制の一層の充実を掲げています。具体的には、診療連携拠点病院に置かれた緩和ケアチームの人員強化や、緩和ケア外来の設置などを求めています。チームは、専従または専任の緩和ケア医やがん看護に詳しい看護師、薬剤師、臨床心理士らで構成されます。主治医からの要請を受け、患者や家族から苦痛や不安の状況を詳しく聞き取り、ケア方針を提案します。
身体的な痛みは、がんと診断された時に2~5割、進行がんで7~8割に生じているとされています。精神的な不安やいらだちを伴うことがあります。仕事や経済的な問題に悩まされる人も少なくありません。緩和ケアは、がん診断時から提供されることが理想です。緩和ケア病棟は、人生の最終段階にある患者を受け入れるというイメージが一般的にまだ根強いものがあります。しかし、最近は、在宅で緩和ケアを続けるための準備やサポートを行う場所、と位置づける病院が増えています。
(2020年2月19日 読売新聞)
(吉村 やすのり)