放射線治療は、手術、薬と並ぶがん治療の三つの柱に位置づけられています。
これまでの放射線治療は、がんを治すための根治照射や転移や再発を予防するための予防照射が一般的でした。最近では痛みや呼吸困難などの症状を和らげるためにも使われるようになってきています。緩和照射と呼ばれ、生活の質の改善が期待できます。緩和照射の対象になることが多いのは骨転移です。乳がん、肺がんなどさまざまながんで、骨へ転移することがあり、激しい痛みを伴うことが多いためです。
がんが脊髄神経を圧迫している場合は急を要することもあります。がんが血管を圧迫したり、圧迫で気道狭窄になったりすると呼吸困難を起こすこともあります。止血のために緩和照射をすることもあります。このような場合、緩和照射にて圧迫を取り除くことにより、症状を緩和させることができます。しかし、がん患者が増えても緩和照射の利用は増えていないようです。放射線治療を専門としない医師に利点が十分に理解されていない可能性があります。患者のメリットを考えると、このような放射線治療はもっと有効活用されていいと思われます。
(2016年1月23日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)
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