厚生労働省の人口動態統計によれば、国内で2018年に亡くなった人のうち、老衰による死者数が約11万人となり、脳梗塞などの脳血管疾患を抜いて死因の3位になりました。90歳以上の超高齢者が多くなっていることが主な要因と考えられます。老衰は、他に死因の原因がない、いわゆる自然死ととらえられます。戦後の1947年をピークに減少傾向でしたが、2001年以降は増加が続いています。今回、約37万人のがん、約21万人の心疾患(高血圧性を除く)に続き、全死因の8%を占めています。
老衰の増加の要因としてまず考えられるのは、長生きして亡くなる人が多くなったことによります。総務省の統計によると、90歳以上の人は、昨年10月現在で約218万人に達しています。10年間で90万人ほど増えました。老衰による死亡は、高齢になるにつれて割合が高まり、95歳以上では死因の1位です。1950年代から1980年代まで死因のトップだった脳血管疾患は、食生活が改善し、血圧の管理が進んだことなどで減少し、今回4位になりました。亡くなる場所が病院から自宅や施設へと徐々に移行し、心肺蘇生や人工栄養などの延命措置を望む人が減っていることも関係しています。
(2019年7月15日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)