意見や疑問を口にしづらい、そんな職場は心理的安全性が乏しいのかもしれません。個性を生かし、チームの力を発揮する土台になり得る概念として、心理的安全性が注目を集めています。心理的安全性は、組織の中で対人関係のリスクに怯えることなく、意見や質問、違和感を気兼ねなく口にし、話し合える状態を指します。日本の組織に求められる心理的安全性の土台として、①話しやすさ、②助け合い、③挑戦、④新奇歓迎が考えられています。
職場に話しやすさや助け合いがなければ、新しい挑戦や異能を発揮することは難しいと思われます。ミスや失敗を報告したら叱るのではなく、報告自体を歓迎できるか、失敗を責めずに建設的な解決策を出し合えるか、管理職の役割は重要です。日本企業は部下に文句を言わせないことでマネジメントしてきましたが、従来の成功体験が通用しない時代になってきました。気づきや意見を言い合って、試行錯誤するのが成長の近道との考えが、徐々に定着しつつあります。
一人ひとりの立場への理解を深めることも、心理的安全性の確保につながります。職場での心理的安全性の向上に向けて、組織を挙げての取り組みが広がることが期待されます。
(2022年5月23日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)