日本肝臓学会は、血液検査の項目のうち肝機能を調べるALT(GPT)値が30を超えた場合、かかりつけ医へ受診を促す新たな指標に定めています。新型コロナウイルス禍で、脂肪肝やアルコール性肝障害になる人が増えており、早期発見や治療につなげたい考えです。
肝臓は沈黙の臓器と呼ばれ、自覚症状のないまま悪化するリスクがあります。ALTは、肝臓などの細胞に多く含まれる酵素で、障害が起こって細胞が壊れると数値が上がり、肝機能障害が起きている可能性を示します。
最近は治療法の進歩によりウイルス肝炎による死亡が減る一方、アルコール性の肝障害の死亡は増加しています。コロナ禍の外出自粛などで非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)も増加傾向にあります。いずれも肝硬変や肝がんに進展しやすく、ALT値が30を超えたらかかりつけ医に相談してもらい、異常がある場合は専門医への受診をすべきとしています。
(2023年6月16日 産経新聞)
(吉村 やすのり)