日本肥満学会では、肥満を脂肪組織に脂肪が過剰に蓄積した状態で、BMIが25以上と定義しています。BMI35以上は高度肥満としています。肥満症については、肥満のうち、肥満に起因ないし関連する健康障害を合併するか、その合併が予測され、医学的に減量を必要とする疾患と定義しています。治療の対象となるのは肥満症です。
運動療法と食事療法で十分な効果がない場合に、薬物療法や、胃を小さくする手術など外科療法が選択肢となります。肥満症治療の選択肢が広がり、今年、日本では約30年ぶりの発売となる新薬が誕生しています。その薬は、ノボノルディスクファーマのウゴービ(一般名セマグルチド)です。GLP―1というホルモンと似た構造でインスリンの分泌を促す作用があり、もともとは糖尿病の治療薬でした。肥満症の治療では、糖尿病治療よりも最大用量を増やすことができます。食欲を抑え、腸の動きを少なくする作用があります。
ウゴービは、高血圧、脂質異常症、2型糖尿病のいずれかがあり、運動療法・食事療法で十分な効果が得られないことを前提としています。BMI35以上の人と、BMI27以上で肥満に関連する健康障害が2つ以上ある人が対象となります。日本人に多いBMI35未満の肥満症にも使うことができます。
(2023年6月28日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)