育児・介護休業法が10月に改正され、子どもが保育所に入れない場合、最長2歳まで育児休業を延長取得できるようになりました。全国の育児休業取得者は年々増加しています。出生数に占める育休取得者の割合は、2015年度に3割に上り、10年前と比べて3倍に増えています。育休は働く人の権利でありますが、長期化はキャリア形成の妨げとなり、必ずしも本人のためになりません。
出産しても働き続けられる職場環境が整いつつある一方で、課題は子育て後のキャリア形成です。休業が長くなれば、能力を磨いて体験を積む機会も減ってきます。どれだけ休むかは、利用者が選択権をもちろん持っていますが、早期復帰を促す企業も増えてきています。1日4時間の短時間勤務を選べるようにしたり、保育費用などの補助額を引き上げたりする企業もあります。長く休まれたら職場が困るでは、モチベーションの向上につながりません。本人のキャリア希望と仕事ぶりを考慮して、職場に必要な人材だと期待を具体的に伝えることが大切です。
(2017年11月7日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)