肺がんの個別化治療

2016年に全国で肺がんと診断された患者は、約12万5千人に達しています。非小細胞肺がんは約9割を占めています。このうち主に薬物治療の対象になるのは、がんが最も進行したステージ4の患者で、全体の約3割とされています。非小細胞肺がんの治療薬には、従来の抗がん剤のほか、免疫治療薬、遺伝子変異を標的にした分子標的薬があります。このうち、分子標的薬は、薬が効くかを確認するためには、その遺伝子に変異があるかをあらかじめ調べておく必要があります。
現在、国内では4つの遺伝子変異に対する分子標的薬が認められています。日本肺癌学会の診療ガイドラインでは、遺伝子検査で変異が見つかれば、分子標的薬の治療を推奨し、いずれも変異がなければ、免疫治療薬や従来の抗がん剤による治療を挙げています。今年2月、分子標的薬がある4つの遺伝子変異を同時に調べられる診断システムが薬事承認されました。医療保険が適用されれば、検査が効率化すると期待されています。

(2019年5月15日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

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