国立がん研究センターらは、たばこを吸う本数が多いほど細胞の遺伝子に傷がつく突然変異の数が増えることを見つけ出しました。特に肺がんで突然変異数が多いこともわかりました。がんは遺伝子の突然変異により発生し、その原因の一つが喫煙とされています。研究グループは、禁煙ががん予防に重要であることを強調しています。
研究グループは、がん患者5,243人分の全遺伝情報を解析しています。17種類のがんについて、喫煙者と非喫煙者で遺伝子の突然変異の数などを比較しました。その結果、肺がんの一部、喉頭がん、口腔がん、膀胱がん、肝臓がん、腎臓がんで、喫煙者の患者は変異の数が統計学上明らかに多いことがわかりました。毎日1箱を1年間吸った場合、蓄積する遺伝子変異の数の平均を推計すると、150カ所の肺がんが最も多く、他には咽頭がん97ヶ所、口腔がん23ヶ所でした。
(2016年11月4日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)