肺カルチノイドとは

 肺カルチノイドは肺がんの一種です。発症頻度は低く、新たに診断される肺がん患者全体の1%未満と推定されています。好発年齢は50代で、男女差はみられません。一般的な肺がんに比べて悪性度は低いとされ、病気の進行も比較的ゆっくりしています。早期に発見し、手術で切除すれば、治るケ-スが多いとされています。喫煙歴との関連は、他の種類の肺がんに比べて低いとされています。自覚症状がないことが多く、健康診断などで胸部のX線検査を受けた際に、丸くて濃い影が見つかることが多いとされます。
 病気が進行すると、せきやたんが増え、腫瘍が大きくなり、肺葉の一部がつぶれて無気肺となり、腫瘍から出血して血痰が出たりすることがあります。肺カルチノイドの治療は、手術で腫瘍を取り除くのが基本ですが、他の臓器への転移がある場合は抗がん剤により治療が行われます。手術後の病理検査で、はじめて肺カルチノイドと診断されることも多いとされています。肺カルチノイドの腫瘍を切除した患者の5年生存率は、早期の1期では約90%、2期で7585%、進行した3期で約50%とされています。

(2015年11月21日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

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