胃がんは、胃壁の最も内側の粘膜で発生し、進行するにつれて胃壁の中を深く入り込みます。がん細胞が胃壁を突き抜け、おなかの中に散らばる腹膜への転移が、再発の約40%を占めています。腹膜への転移は手術後の診断で、がん細胞が胃壁内にとどまっていると判断されても起きることがあります。
大阪市立大学の研究グループは、がん細胞が漿膜下層と呼ばれる胃壁の外側に近い部分にまで達していた患者96人を調べています。その結果、手術後5年以内に16人が腹膜に転移して再発し、うち14人が死亡しました。がん細胞と胃壁の最も外側までの距離が0.234㎜以下だった58人は、それ以外の患者と比べ、再発リスクが4.86倍でした。
(2020年2月2日 読売新聞)
(吉村 やすのり)