胃がんは、早期発見して切除すれば9割が治ります。胃がんの代表的な検診方法がエックス線検査です。膜状に広がったバリウムによって胃の形や胃壁の凹凸がはっきり分かるという長所があります。一方、2016年に追加で推奨された内視鏡検査は、胃カメラで胃の中を直接確認します。現在では、検査で異常が発見された時に生検できるといった長所から、初めから内視鏡検査で検診した方が効率的と考えられるようになってきています。どちらの検診方法も主にアジアで発展しています。ピロリ菌感染が原因の9割を占める胃がんは欧米で少なく、アジアで多いとされています。
胃がんの中でも、早期発見が難しいとされるのがスキルス胃がんです。こぶ状の腫瘤を作る胃がんなどと違い、スキルス胃がんは粘膜の内側に広がり表面に凹凸が出にくくなっています。進行が早い上に発見が遅れやすく、発見時には胃のそばの腹膜に種をまくようにがんが広がる腹膜播種を起こしているケースが多いとされています。高齢者の胃がんが、ピロリ菌で粘膜が萎縮してできるのに対し、スキルス胃がんは萎縮する前に発生しやすく、若い人に多くみられます。
(2019年7月4日 毎日新聞)
(吉村 やすのり)