脱炭素社会の実現に向けて、企業の研究開発を後押しする基金の創設に2020年度第3次補正予算案で2兆円を計上しています。水素や再生可能エネルギーなどの分野で、2030年時点の開発目標を国が設定し、拠出を受ける企業側に事業計画の提出を求めています。2050年の温暖化ガス排出量実質ゼロに向けて技術革新を促します。
まず国が、各重要分野において2030年時点で目指すべき性能や価格、CO2削減率といった目標を設けます。企業は経営トップが関与し、目標達成へ長期的な事業戦略を提出します。企業側に目標達成への強いコミットを求める代わりに、国は最大10年間の長期にわたって支援していくことにしています。
特に重点を置くのが、再生可能エネルギーなど電力のグリーン化と、車などの電化です。インフラとなる低コストで大容量の蓄電池の開発に期待がかかります。水深が深い日本の海にも設置が可能な浮体式洋上風力も支援候補です。
生成が容易で燃焼時にCO2を排出しない水素関連技術も重要分野です。水素製造装置の大規模化や低コスト化に向けた技術開発を支援します。CO2を素材や燃料として再利用するカーボンリサイクルも進めていきます。
(2020年12月22日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)