国内の2023年の臓器提供者数は増えたとはいえ、人口100万人当たりで米国の40分の1、韓国の8分の1にとどまっています。移植を待つ約1万6,000人に臓器を安定して届けられる体制の構築が急務となっています。厚生労働省は、脳死下の移植医療体制の改革を加速させています。ドナーの身近にいる看護師らがコーディネーターの認定を受け、家族から臓器提供の同意取得をできるようにするなど、地域での提供を完結可能な仕組みを目指します。

医療機関の看護師らを認定ドナーコーディネーターとして認める制度を導入する方針です。日本臓器移植ネットワークが担う、ドナー家族に対する脳死判定や臓器提供に関する説明、同意取得といった業務をできるようにします。これまでドナー家族の相談にのるなどしてきた約3,000人の看護師らの中で、認定を受けた人が新たな業務を担えるようにします。
各地方に新たな法人も置く計画です。主に臓器を摘出する手術の管理や、臓器を移植施設に運ぶ経路の作成にあたり、コーディネーターのいる医療機関と連携をしてもらいます。ドナーや家族に身近な地域の医療機関などが、迅速な対応をとれるようにする狙いがあります。あっせん業務は、日本臓器移植ネットワークが一手に引き受けてきましたが、認定コーディネーターや新法人がそろった地域から順に、日本臓器移植ネットワークの業務は分割して移されます。

(2025年6月29日 読売新聞)
(吉村 やすのり)