自殺による妊産婦死亡

自殺は妊産婦死亡事例報告事業に報告される死亡原因として増加傾向を示し、2020年以降は自殺が最も多くなっており、特に産後の事例が増えています。自殺症例の発生件数の増加だけでなく、報告事業が周知されるとともに、報告される事例が増加した影響もあると考えられます。自殺の時期は産褥期が多く、妊娠中・産後の自殺者の半数は精神疾患をもって妊娠した女性で、妊娠中や産後に発症した女性は25%程度です。
自殺は精神科最終受診から0~7日が最も多く、このうち半数は2日以内であったことから、精神科受診が必ずしも自殺防止にはつながっていない可能性があります。妊産婦の自殺には、様々な要因が関連しているため、妊産婦の自殺を防止するには全ての妊婦に対して不安について傾聴し、リスクに応じた対応を行う必要があります。
妊産婦の自殺を予防するためには、産科医療機関の医療スタッフがメンタルヘルスケアを担うことができるようなスキルを身につけて、ポピュレーションアプローチとして全ての妊産婦に対して行政とも連携してケアを実施していくことが必要となります。

(吉村 やすのり)

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