自然科学分野の論文の注目度の高さを示す指標で、中国が初めて世界一になりました。研究者による引用回数が上位10%に入る注目論文の数で、初めて米国を抜きました。分野別でも8分野中、材料科学や化学、工学など5分野で首位に立っています。科学論文の数は、国の研究開発の活発さを測る基本的な指標です。
注目論文の本数を調べたところ、中国は2018年に4万219本となり、米国の3万7,124本を抜き首位になりました。米国も2008年に比べて3%増えていますが、中国は約5.1倍と急増しています。シェアは、中国が24.8%、米国が22.9%と、3位の英国の5.4%を引き離しています。注目論文のうち上位1%に当たるトップ論文でも、中国のシェアは25%と米国の27.2%に肉薄しています。米国は、臨床医学の34.5%や基礎生命科学の26.9%は首位をキープしています。
一方、日本は論文の質・量ともに順位が低下し、科学技術力の足腰の弱さが浮き彫りになっています。注目論文のシェアではインドに抜かれ、前年の9位から10位と初めて2桁台に後退しました。トップ論文のシェアも9位と前年から横ばいでした。
(2021年8月11日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)