若い世代の意識は変わりつつあります。国立社会保障・人口問題研究所が独身の18~34歳を対象に夫婦の理想の働き方を尋ねた調査によれば、2021年に男女とも初めて、妻が出産後も働き続ける両立コースが、出産を機にいったん退職する再就職コースを逆転して最多になっています。男性側の増加幅が大きく、両立を選んだ2021年の割合は、1987年の約4倍になっています。
共働きをするなら家事・育児の分担は欠かせません。日本は海外に比べて夫の家庭参画が遅れています。内閣府が2023年に発表した生活時間の国際比較によれば、欧米諸国では、女性が費やす家事・育児などの無償労働時間は男性の1.5倍程度ですが、日本は5.5倍です。
サイボウズチームワーク総研の調査によれば、男性の7割が育児が始まったら働き方を変更したいと回答しています。その理由として、妻の負担を減らしたい、育休を終えても育児は終わったわけではないと回答しています。内閣府の2022年度委託調査によれば、家事・育児時間を増やしたいと考える子持ちの男性の割合は、40~69歳で約1割ですが、20~39歳の若い世代では約3割に達しています。さらに20~39歳の男性のうち3割強が、仕事の時間を減らしたいと回答しています。
夫婦で平等に家事や育児を担う考えが若い世代を中心に広がっていることが要因で、長時間労働が常態化し柔軟な働き方ができない企業からは、転職・退職を選ぶケースもあります。男性の人材流出を防ごうと、業務や風土の見直しにより残業を抑制したり、働く親のネットワークを強化したりする会社も出てきています。
(2023年11月6日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)