若い世代の禁煙治療を支援する動きが広がっています。吸いはじめ時期が早いほどニコチン依存症になりやすく、喫煙歴が長くなるとがんなどのリスクも高くなります。若者の禁煙を勧め、早期に疾病の芽を摘むのが狙いです。禁煙治療に保険が適用されたのは06年です。禁煙治療や受動喫煙防止を推進する国際条約が発効した翌年です。歴史は意外と浅いのですが、日本禁煙学会の集計では、保険治療施設は今や1万6千施設を超しています。
保険適用には喫煙本数と年数を掛けた数値が基準になります。1日1箱20本を10年吸って初めて基準200を満たすことになります。現在、20代のニコチン依存症患者だけでも、約8割の若者が保険対象外になってしまいます。若者が保険治療を受けたくてもこの基準が壁でした。そのため、厚生労働省は今年の4月の診療報酬改定で、喫煙の指数基準を35歳以上に限定する方針にしました。34歳以下の喫煙者は、指数に関わらず保険が適用され、3割負担で済むことになります。治療の総費用は、最長12週間で約6万6千円となり、保険適用で自己負担は2万円以内に収まります。再喫煙の主因の一つは周囲の喫煙環境だとされています。喫煙環境の縮小や禁煙教育の徹底が求められます。
(2016年3月6日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)
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