若年がん患者に対する学習支援

高校生を含む15~19歳で、1年間にがんと診断されるのは推計約900人と推計されています。国立がんセンターは、小児がんの診療体験や療養生活の実態を把握するため、全国の患者や家族を対象に初の実態調査を実施しています。
診断時に就学していた518人のうち、小学校206人、中学校118人、高校80人など計440人が、転校・休学・退学などを経験しています。小中学校は、転校がそれぞれ81%、59%で最多でした。高校は休学の61%が最多でした。治療中に利用した就学支援制度も、小中学校は院内学級で授業を受けたが91%、78%でしたが、高校は19%だけで、利用したものはないが61%を占めていました。
コロナ禍もあって、オンラインによる遠隔授業の環境は整備されてきていますが、長期療養の生徒へ対応は自治体によって温度差があります。同時双方向型の遠隔授業によって、高校生としての自分であり続けられることは、副作用などで辛いこともある治療への大きなモチベーションになります。
文部科学省は、2015年にメディアを使った同時双方向型の遠隔授業を高校で制度化しました。さらに2019年、病院などで遠隔授業を受ける場合は必ずしも教員を配置しなくても良いと要件を緩和しています。支援が必要な生徒を把握し、どんな教育を提供するかをコーディネートする仕組みを、すべての自治体でつくる必要があります。

(2022年4月21日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

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