英国における出生前診断

英国においては、現在日本で話題となっている新型出生前診断はそれほど普及していない。従来の血清マーカーによるクアトロテストと超音波診断によるNT検査(頸部浮腫)を組み合わせた出生前診断が無料で実施されているからだ。以前より英国政府は、

ダウン症児が生まれることによるコストベネフィットを考え、これらの検査を全ての妊婦が受けられる制度を整備している。また、胎児の異常を理由での人工妊娠中絶も認められている。

しかし、英国は自己決定権を尊重し、障害がわかっていても産むと決断した場合、それら女性に対する支援が充実している。また、障害児に対しても手厚い保護が準備されており、障害者関連の公的支援はわが国の約3倍である。わが国で出生前診断が普及する現在の状況は、クライエントの検査を受けたいとする権利があるため致し方ないと思うが、障害者に対する支援を強化し、住みやすい環境を整えることが前提条件となる。

(吉村 やすのり)

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