2021年度の文部科学省の調査によれば、英検3級以上の力がある中学3年は47.0%、英検準2級以上の高校3年は46.1%で、政府が2022年度までの目標とする50%に現時点では届いていません。グローバル人材の育成に向けた英語力の底上げがなかなか進んでいません。
英語力に大きく影響するのは、授業で英語を使う頻度です。今回の調査で、都道府県・政令指定都市別に授業の状況と英語力の相関関係を分析しています。この結果、生徒が英語の授業で考えや気持ちを伝え合う機会が多い地域は、英語力が高くなっています。英検3級以上の中学3年の割合が86.3%で、都道府県・政令指定都市別で最も高いさいたま市は、授業の半分以上を英語でやりとりしている中学校の割合が99.4%と最高でした。
現行の学習指導要領は、中高ともに英語の授業を英語で行うことを基本とすると明記しています。しかし実際に授業時間の半分以上は、中学校が71.3%、高校が50.3%にとどまっています。進級に伴い、文法や内容が複雑になり、日本語で英語を教える授業が多くなっています。
(2022年5月19日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)