虐待児童の司法面接の増加

 性暴力や虐待の被害にあった子どもから、過大な負担をかけずに被害を聞き取る司法面接が広がっています。昨年12月に施行された改正刑事訴訟法では、検察官が刑事裁判で被害を証明する際、被害児童の証人尋問を司法面接の映像再生で代えられるようになりました。裁判では弁護側の反対尋問はあるものの、出廷の機会は減ることになります。

 ケアがない状態で子どもが経験を話すことは、もう一度被害に遭うのと同じです。証言の回数が多いほど、トラウマを抱えやすいという研究もあります。司法面接は、そうした負担を減らしつつ、子どもから裁判の証拠になりうる正確な情報を聞き出す技法です。1980~1990年代にかけて米国や英国で導入され、障害のある人の被害の聞き取りにも使われてきました。

 虐待の疑いで2023年に警察が児童相談所に通告した子は、約12万2千人に達しています。司法面接は、少なくとも2004年から増え続ける事態に対処するのが目的です。日本では2000年代に研究が進み、児童相談所を管轄する厚生労働省と、最高検、警察庁が、2015年に代表者聴取などの呼び名で司法面接を推進すると通知しています。主に捜査員が担う形で、2015年度に39件だった実施件数は、2020年度に2,124件に増えています。

(2024年12月24日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

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