虐待死

 厚生労働省によると、全国の児童相談所が2014年度に対応した児童虐待の通告は、約88千件もあり、その数は過去最多です。1990年度の集計開始以来24年連続で増加しており、初めて8万件を突破しました。政府は対策強化のため、児童相談所の体制や権限を強化する児童福祉法と児童虐待防止法の改正案を今国会に提出しています。まず、このような児童虐待の現状を知り、対策を考え、虐待による死亡を一例でも減らすことが期待されます。
 日本小児科学会は、虐待で死亡した可能性のある15歳未満の子どもが全国で年間約350人にも上るとの推計を出しています。厚生労働省の集計では、虐待で死亡した可能性のある子どもは年内69~99人で推移しています。これについて、日本小児科学会は、医療機関や行政、警察の間での情報共有や検証が不十分で、多くの虐待死が見逃されている恐れがあるとしています。臨床医に生前の生活状況などの情報が届かず、虐待を見抜くのが難しい他、医療機関や児童相談所、警察の間で虐待死と判断するかどうかの見解にずれが生ずるためとしています。

(2016年4月8日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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