虐待死の可能性

 日本小児科学会は、年間約350人の子どもが虐待で亡くなった可能性があるとの推計をまとめました。厚生労働省の集計では年間6999人とされており、その35倍に達しています。厚生労働省の集計と差が生じるのは、臨床医に生前の生活ぶりなどの関連情報が届かず、診断時に虐待を見抜くことができなかったり、医療機関と児童相談所の認識のずれがあったりするためと思われます。
 虐待死は0歳児が多いことも知られており、産後のケアが重要であると思われます。児童虐待には、産後の母親の育児による心的ストレスや産後うつなども大いに関係しています。今回の統計でも、予防可能性の観点から101人は、出産や子育て状況の把握など行政機関の関与や、誤飲事故の予防啓発といった適切な対策を行えば、今後の同様の死を防げる可能性があるとされています。

(2016年3月21日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

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