虐待死する子どもは約半数が0歳児であり、加害者の半数以上は実母です。その背景にあるのが、貧因などを原因とする望まない妊娠です。厚生労働省は生まれたばかりの赤ちゃんの虐待死を防ぐために、来年度から産科医療機関などに児童福祉司らを配置し、出産後の生活相談に対応することにしています。まずは全国10カ所の自治体で開始し、全国展開を目指します。
厚生労働省は、妊婦との接点が多い産科のある医療機関や助産所、貧因家庭内暴力に苦しむ母子を受け入れる母子生活支援施設などに、児童福祉司や社会福祉士らを配置することにしています。モデル事業では、自治体に児童福祉司を産科医療機関などに配置し、妊婦健診や飛び込み出産などを機に妊婦と相談することにしています。経済的に困窮していたり、夫から暴力を受けていたりするかどうかなどを聞き出し、必要があれば出産後に赤ちゃんを乳児院に預けたり、母子で暮らすシェルターを紹介したりします。生活保護の相談窓口やハローワークなどにもつなげ、母子が自立した生活が送れるよう支えます。
(2016年11月22日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)