血液は体中を巡りながら呼吸で取り込んだ酸素や食事から取った栄養を全身の細胞に運ぶほか、二酸化炭素や老廃物を細胞から回収しています。脂っこい食事やストレス、運動不足などが続くと血液が流れにくくなります。血液中に悪玉コレステロールが増え、血液の粘度が高まり、いわゆるドロドロ血の状態になります。糖質が多い食事は血液中の中性脂肪を増やし、血液がスムーズに流れにくい血管になってしまいます。血流が悪化すると体が冷えて、血流はより悪くなります。
細胞に酸素や栄養が十分に届かなくなり、熱の産生力が弱くなって低体温になってしまいます。この悪循環が様々な不調や疾患を引き起こします。むくみや肌荒れ、便秘、肥満、月経トラブルや薄毛、勃起不全のほか、肩こりや腰痛などが起きます。血流の悪化で動脈硬化が起きると、心臓病や脳卒中の原因にもなります。
まずは体を冷やさず、温めることが大切です。太ももやお尻、二の腕など大きな筋肉がある部位は血流が多いので、重点的に温めると効果的です。40度前後の熱すぎない風呂にゆっくりつかるのも有効です。適度な運動で筋肉をつけることも大切です。筋肉は、血液を心臓に送り出すポンプ機能と、体の熱を作り出す機能をあわせ持っています。鮭やマグロ、イワシなど青魚に含まれるエイコサペンタエン酸(EPA)やドコサヘキサエン酸(DHA)は、血流改善の効果が期待できます。
(2019年1月26日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)