訪問介護事業者の倒産

 訪問介護事業者の倒産や廃業が相次いでいます。東京商工リサーチの調査によれば、訪問介護事業者の倒産件数は11月末時点で85件に達し、過去最多だった2024年の81件を上回っています。2023年から3年連続での最多更新となります。倒産の原因は、売り上げ不振が71件で全体の84%を占めています。従業員10人未満が74件、負債額1億円未満が76件と、いずれも9割近くを占め、小規模事業者の倒産が多くなっています。しかし、負債額1億円以上の倒産も9件あり、前年から2件増えています。

 要因の一つとして指摘されているのが、厚生労働省が3年に1度行う介護報酬改定です。2024年度には介護職員の処遇改善を目的に全体の報酬は引き上げられた一方、訪問介護の基本報酬が2%以上引き下げられました。介護報酬引き下げは、事業者にとって収入減の打撃となります。さらに深刻な人手不足を背景にした人件費や求人コストの増加、ガソリン代や電気代など運営コストの上昇といった複合的な要因により、経営が圧迫されています。

 介護サービスの中でもホームヘルパーの人手不足は深刻です。有効求人倍率は14倍を超えています。若手が入ってこないためヘルパーの高齢化が進み、60代や70代のベテランが主力という状況です。人手が集まりにくい大きな要因は賃金水準の低さです。

(2025年12月3日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

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