訪問診療のための診療

 訪問診療とは、患者の自宅や介護施設を長期にわたって計画的に訪れて診察や治療をすることです。主に寝たきりの患者や神経難病で体を動かしにくい患者で、病院の待合室で長時間待てない認知症の患者らが対象になります。血圧・脈拍の測定や点滴のほか、健康相談やリハビリを指導することになります。110分あまりで、月に23回の訪問が多いとされています。急病などで患者に呼ばれて医者が出向く、往診とは区別されます。
厚生労働省は、医師が高齢者の自宅を定期的に訪れて診察する訪問診療の専門診療所を認める方向性で動いています。外来患者に対応する診察室や医療機関がなくても開設を認めることとしています。政府は、高齢者が病院ではなく自宅で治療する地域包括ケアを推し進めています。そのため訪問診療に専念する医師を増やし、退院した患者の受け皿をつくることを目的としています。訪問診療の患者の8割以上は、要介護と認定された高齢者で、外来で病院に行くことが難しくなります。訪問診療を広げる背景には、入院ベッドの不足もあります。病状が安定した患者は、病院ではなく、自宅や介護施設で治療を受けやすくなります。

(2015年7月10日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

 

カテゴリー: what's new   パーマリンク

コメントは受け付けていません。