訪日外国人の増加に伴い、入国審査の短縮が課題となっています。日本の制度では、まずパスポートやビザが有効かどうかを確認した後、外国人が記入した入国カードの内容を確認します。必要に応じて旅行の日程や日本での活動内容を聞き取ります。入国を許可する場合は、指紋と顔写真を取得し証印を押して審査を終えることになります。出入国管理を統括する法務省によれば、1月には羽田空港第3ターミナルで最大1時間26分の待ち時間が発生しました。新型コロナウイルス禍が収まってから訪日外国人観光客が増え、審査に時間がかかるケースが頻発しています。旅行者の不満が大きく、政府は自動ゲートの活用や渡航前の事前審査制度の導入などを検討しています。
審査の効率化を進める一方で、テロリストなどの入国を阻止する水際対策も必要になります。米国は不法移民対策で入国審査を厳しくしています。
日韓両政府は、6月はじめから1カ月ほど空港に両国民が入国するための専用レーンを試験的に設置します。日韓国交正常化60周年の節目にあわせて入国審査にかかる時間を短縮します。外国人全体の入国審査レーンと別に、日本側韓国人、韓国側に日本人専用のレーンを設けます。一定の条件を満たした人が専用レーンを使えるようにします。多様な国籍の人が集まるレーンより入国審査を効率的に進められるとみています。

(2025年5月16日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)