診療報酬とは、病院や薬局などの医療機関が、公的医療保険で手掛ける医療行為や薬の対価として受け取る報酬のことです。国が全国一律で定める公定価格で、原則2年に1回改訂されます。財源は、企業や個人が納める保険料や税金のほか、患者が支払う窓口負担でまかなっています。報酬を引き下げると病院や診療所などの収入が減る一方、国や企業、個人の負担額も減ることになります。
診療報酬は医師の診察料と、薬と心臓ペースメーカーなどの医療材料を含む薬価部分の大きく2つに分けられます。2016年度予算編成で、診察料を0.49%分プラスとする一方で、薬価を1.52%分のマイナスにして、全体では差し引き1.03%引き下げることを決めました。日本の医療費は、高齢化により年40兆円を超えています。診療報酬見直しや情報公開による医療の効率化と費用抑制が急務になっています。今後は個人の負担額を増加させるような方向性を考えてゆかないと、国の負担が増えるばかりです。薬価の引き下げは止むを得ないと思います。
(2016年2月4日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)
アーカイブ
カテゴリー
カレンダー