診療報酬とは

 診療報酬とは、病院や薬局などの医療機関が、公的医療保険で手掛ける医療行為や薬の対価として受け取る報酬のことをいいます。国が全国一律に定める公定価格で、原則2年に1度、偶数年度に改定します。診療報酬は年間の医療費である40兆円超に相当し、企業や個人が納める保険料や税金、患者の窓口負担で賄っています。報酬を下げると、病院や診療所などの収入が減り、国や企業、個人の負担も減ります。
 診療報酬は、医師の診察料と薬と医療材料を含む薬価部分の2つからなっています。最近の改定では、市場の実勢価格に合わせて薬価を大きく引き下げ、医師の人件費は守られてきました。しかし、薬価だけでは年1千億円規模の歳出抑制しかできません。医師の人件費も含めて診療報酬を大きく見直さなければ、医療費の伸びを制御できません。膨らむ医療費を抑えるには、高齢者の窓口負担引き上げも必要になります。2018年度は、原則3年に1度改定する介護報酬を改定する年でもあります。診療と介護の両報酬をそろって見直すのは、6年に1度です。

(2017年10月31日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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