医師の高齢化に伴い、診療所のない地方自治体が増加しています。厚生労働省によれば、2040年に市区町村の2割でゼロとなる見通しです。医師の都市部への過度な集中を和らげ、地方での勤務や開業を促す仕組みが求められます。
2022年時点で診療所のない自治体は77でした。診療所が1カ所の市区町村は2022年に175ですが、75歳引退の場合は2040年に249に達します。診療所がゼロになる可能性のある自治体の大半は過疎地です。75歳引退の場合にゼロとなる265市区町村を人口規模別でみると、5,000人未満が109と全体の4割を占めています。
医師数は全国では増え続けており、2030年前後には過剰に転じるとの試算があります。地方での医師確保とともに、都市部への集中是正も重要となります。民間の診療所の場合、患者数が減り続ける地域で開業に踏み切るのは難しく、地域によってはまちの機能集約や住民の集住が必要となる可能性があります。
(2025年1月10日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)