東京都内の認可保育所で、今年4月に予定していた開設を先送りする例が相次いでいます。開設に反対する周辺住民との合意形成に時間がかかっているほか、保育所を運営する事業者を公募しても土地や建物を確保できずに提案が十分集まらず、予定通りに事業を進められなくなっています。静かな住宅環境が乱されると反対する住民の気持ちもわからなくはありませんが、子どものいない社会は存続できません。社会の理解と協力が大切です。
認可保育所として使用する建物は子どもの安全を守るため、厳しい基準が定められています。東京都は災害時に備えて、2方向に避難できる出入り口が必要としているほか、学校と同等の耐震基準や設計図通りにできていることを保証する検査済み証を求めます。既存の物件を活用すれば、新たに建物を造るより準備期間は短くなり、費用も抑えられます。しかし、古い建物では検査済み証がない場合が多く、広い物件が見つかっても、保育所としては使えないケースが多くなってしまいます。
(2016年1月13日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)
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