認知症とは、脳の働きが低下して生活に支障をきたしている状態を示します。記憶や会話、計算能力などを司る認知機能が低下するほか、記憶障害による不安から暴力的になるなど、周囲との関係性の維持が難しくなる可能性もあります。症状が進行すると自立した生活が難しくなるケースもあるため、早期に発見し、リスク低減に取り組むことが重要です。
認知症患者数は年々増え続けており、平成29年版高齢社会白書によれば、認知症を患う高齢者は約462万人(2012年時点)と、高齢者人口のおよそ7人に1人を占めています。今後もその数と割合は増加し、2025年には700万人に達し、5人に1人になると推計されています。
国もこの事態を重く受け止め、2019年6月、政府は尊厳を保ち同じ社会で生きる共生と、発症を遅らせるなどの予防を考え方の両輪とした認知症施策推進大綱を取りまとめています。人生100年と言われる長寿命時代を迎えたいま、認知症がQOLに影響を及ぼす期間も長くなっています。いざという時には、民間サービスや公的な補助を活用できるよう準備しつつ、日頃の生活の中で可能な限りの予防策を講じることが大切です。
(2020年9月21日 読売新聞)
(吉村 やすのり)