認知症の14のリスク要因

 英医学誌ランセットの専門医委員会の報告によれば、難聴や喫煙、社会的孤立など14項目のリスク要因を取り除くことで、認知症になる人の45%は予防できるとしています。これまでに発表された各国の疫学研究などの成果を網羅的に検証し、教育の不足や糖尿病、高血圧など14項目を認知症のリスク要因に挙げています。2020年の報告書では、このうち12項目が挙げられており、今回は悪玉とされるLDLコレステロールの高さと、未治療の白内障などによる視力低下が加わっています。

 中年期の高コレステロールは、英国の三つの大規模な追跡調査などから危険因子であるという一貫性のある証拠があるとし、7%の認知症の要因と推計しています。過剰な脳のコレステロールが、アルツハイマー病の原因とされる物質の蓄積や脳卒中と関連しているとみています。未治療による視力低下は要因の2%と推計しています。

 子どもの頃からの教育機会の確保は、将来の経済状況の改善につながり、医療へのアクセスや健康意識が向上すると分析しています。また、中年期以降では、難聴について、補聴器がリスクを軽減するとの証拠は一貫していると強調しています。

 日本の認知症の高齢者は2022年に443万人、2040年には584万人に増えるとみられています。世界全体でも、2050年までに1億5千万人を超えると予測されています。健康的なライフスタイルは、認知症のリスクを低下させるだけでなく、認知症の発症を遅らせる可能性もあります。これは、個人の生活の質に大きな影響を与え、社会にとってもコスト削減のメリットをもたらします。

(2024年11月20日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

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