読書の行動力、認知機能に与える影響

国立青少年教育振興機構の調査によれば、小学生から高校生までの間に読書量が多かった人は、大人になった時に物事に進んで取り組む意欲(主体的行動力)や一時的な記憶力(認知機能)などが高い傾向にあることが分かりました。読書量について、①小中高を通して少ない、②成長とともに徐々に減少、③成長とともに徐々に増加、④小中高を通して多いの4グループに分類しています。評価項目は、客観的、論理的に考える力(批判的思考力)、何事にも進んで取り組む姿勢や意欲(主体的行動力)、自分を理解し肯定する力(自己理解力)です。
読書量の多い④のグループは、①の少ないグループに比べて、批判的思考力が2.42点、主体的行動力が2.22点、自己理解力は2.04点、いずれも高得点でした。また、大学生97人の認知機能を測ったところ、平均点(最高30点)は④が最も高い25.56点で、③が22.25点、②と①が20.14点でした。
今回の機構の調査では、紙の本で読書する人は、パソコンやスマートフォンなどで読む人より主体的行動力や批判的思考力、自己理解力が高い傾向にあることも分かりました。子ども時代の読書量が、大人になってからの各種能力の高さにつながります。読書は子どもの心を動かし、想像力や好奇心を育てます。

(2021年8月12日 読売新聞)
(吉村 やすのり)

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