サイバーエージェントが、調剤薬局やドラッグストアへAIアシスタントを使った接客ロボットの導入を進めています。背景にあるのは患者対応の負担の大きさです。薬の在庫不足や自己負担比率をめぐる制度変更などで、カスタマーハラスメントも深刻化しています。接客をロボットに任せ、調剤に集中してもらうことで薬剤師が働きやすい職場づくりを目指しています。
出荷調整による医薬品在庫不足や、ジェネリック医薬品がある薬で先発薬を患者が希望する場合に、差額の一部を自己負担する制度の開始、マイナ保険証の導入などで患者に理解を求めなければならないことが増えました。日本薬剤師会の調査によれば、2024年3月からの1年間でカスハラで調剤対応が困難になった事例が1,566件報告されています。都内では薬剤師の約7割がカスハラにあったことがあるとの調査もあります。
医師は、厚生労働省の通知で診療を拒否することができる事例が示されている一方、薬剤師にはそれがなく、暴言や威圧、金銭不払いなどへの対応に苦慮しています。AIによる接客の代替は薬局でのカスハラを減らせる可能性を秘めています。
(2025年7月8日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)