虐待の疑いがあるとして、警察が昨年1年間に児童相談所に通告した18歳未満の子どもは、前年比8,738人(8.9%)増の10万6,960人でした。2004年に統計を取り始めて以来、初めて10万人を超え、過去5年間で約2倍になっています。警察は、家族や近所の住民、医療機関、学校からの通報・相談などで情報を把握します。子どもの安全を確認し、虐待を受けていると思われれば、児童虐待防止法に基づき児童相談所に通告しています。
通告の内訳では、心理的虐待の7万8,355人が最も多く、全体の7割超を占めています。心理的虐待には、配偶者同士や他の兄弟姉妹に暴力を振るう面前DVや、心を傷つける言動を繰り返す行為、無視するなど拒絶的な態度が含まれます。警察が面前DVを心理的虐待に当たるとして積極的に通告してきたことが影響しています。
外出自粛など求められているコロナ禍では、虐待の要因になりうる家族の社会的孤立、貧困、親の精神的な不安さが深刻化しています。今後ますます通告件数は増えるかもしれません。
(2021年2月5日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)