消費税は2019年10月に現行の8%から10%に引き上げられます。増収分5兆円強のうち2兆円近くが幼児、大学教育無償化などに充てられる見込みです。国と地方の債務残高は計1,000兆円を超えており、国内総生産(GDP)の約2倍に達しており、先進国で最悪の水準にあります。その要因は、少子高齢化に伴う社会保障費の増大です。
国と地方を合わせた社会保障経費は2017年度予算で約40兆円に上ります。そのうち約19兆円は消費税収で確保されますが、残る約21兆円は国債発行などでツケを将来世代に先送りしています。この不足分は消費税8%分に相当し、消費税で賄うとすれば税率を現行8%からさらに8%引き上げて16%とする必要があります。日々2万円分の社会保障サービスを1万円で買い、残り1万円を子どもや孫にツケ回ししているのと同じです。現在のように、社会保障費負担を将来世代に押し付けるのは、財政的幼児虐待と呼ばれます。社会保障費を消費税で賄うとすれば、税率を欧州諸国並みの20%程度に引き上げる必要があります。同時に医療、介護費の抑制も求められます。
(2017年12月15日 読売新聞)
(吉村 やすのり)