賃金の世代間格差

 厚生労働省の賃金構造基本統計調査によれば、2025年の大卒20代(20~24歳と25~29歳)は前年比4~5%台の伸びです。一方で、大卒50代(50~54歳と55~59歳)は1%未満でした。大卒の男女別もわかる2024年の値で2020年と比べると、就職期にあたる20~24歳の賃金は男性9.8%増、女性10.5%増です。一方で、50~54歳は男性0.9%減、女性0.2%減でした。近年の賃上げ局面では年代による賃金上昇のばらつきが鮮明になっています。

 若手は転職が活発で、労働需給の逼迫が賃金上昇に反映されやすくなっています。一方で50~54歳の就職氷河期世代は転職が少なく、世代間格差が生じています。氷河期世代の労働移動がもっと活発になるような環境整備が必要です。

 経済の失われた30年と社会人生活が重なる50代は、賃金の上がりにくい時期を経験してきました。年齢別の賃金カーブを男性でみると、50代が就職した時期の1994年は明確な年功序列型です。その後、カーブは傾きが緩やかになっています。就職氷河期世代の賃金の伸びの低さは将来の低年金にもつながり、年金制度改革でも論点の一つになっています。

 人口は20代が1,272万と50代より3割少なく、働き手として希少な存在です。就職期の環境は50代後半がバブル経済末期、50代前半が就職氷河期と、同じ年代でも差が大きくなっています。20代は学生時代や就職期にコロナ禍を経験し、デフレからインフレへの転換期を若手社員として過ごしています。

 お金に対する意識については、家計の金融行動に関する世論調査2025年によれば、経済的な豊かさを実感、ある程度実感している世帯の合計は20代で58%、50代で35%と開きがあります。

 心の豊かさを実感する条件では、20代が、経済的な豊かさ、時間的な余裕、将来の生活への安心感の順に多く、50代は、健康、経済的な豊かさ、家族とのきずなが上位でした。年齢を重ね、体調や人間関係への意識が強まる姿がくっきり表れています。

(2026年3月15日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

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