賃金の伸び率と労働生産性

厚生労働省がG7の1991年と2020年の賃金を比べたところ、名目賃金では米国が2.8倍、英国が2.7倍に伸びています。日本は1.1倍に過ぎません。歴史的水準となった今春闘の賃上げを経たとしても、欧米主要国には、全く及びません。
日本生産性本部によれば、日本の労働者が稼ぎ出す1時間あたりの付加価値である労働生産性は52.3ドルで、OECD加盟38カ国中30位にとどまっています。賃上げを持続させるには、経営側との交渉で分け前を勝ち取るだけでなく、生産性を高めて日本経済の稼ぐ力自体を磨く必要があります。
企業が労働者に費やす能力開発費に関しても、厚生労働省によれば、GDPに占める割合は、米が2.08%、仏が1.78%、独が1.20%に対し、日本は0.10%にとどまっています。人材育成・能力開発を通じて、労働生産性を上げることも大切ですが、能力開発は労働者個人だけに委ねていてはうまくいきません。企業や政府も主体的に動くべきです。

(2024年3月27日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

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