起業家輩出力ランキング

 起業家を育てる力が地方で目立っています。人口減少による担い手不足や働き口の減少が起業を促し、地域の身近な課題がビジネスチャンスにつながります。中小企業庁の集計によれば、2023年度は4万9,085人が自治体の支援で起業し、2014年の産業競争力強化法施行後最多を更新しています。都道府県別の支援実績を人口10万人あたりの起業家輩出力として比較したところ、鳥取県が114人で最も多く、全国平均39.5人の3倍でした。大分県が111人、島根県が104人で続いています。

 鳥取県は、2023年度に613人の起業家を誕生させています。全国で初めて全市町村が強化法に基づく支援体制を整え、全県挙げて起業家育成に力を入れてきました。輩出力2位の大分県では、誕生した起業家の6割が別府市に集中しています。商工会議所や信用金庫などの支援機関を紹介し、先輩起業家の情報をウェブサイトで提供しています。

 産業競争力強化法に基づく創業支援は、人口や事業所の少ない地域ほど効果がありました。創業地域格差は縮小し、地方創生に一定の貢献があると分析されています。創業支援のメニューが出そろった今、息長く増やし続けるには、創業までではなく、創業後にも伴走支援が必要となります。

(2025年5月17日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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