軽減税率の導入

軽減税率制度とは、酒類や外食を除く飲食料品などの税率を、これまでと同じ8%のままにすることです。飲食料品には、生鮮食料品や加工食品が含まれます。ビールやワインの税率は10%ですが、ノンアルコールビールは8%です。外食は軽減税率の対象外ですが、買った商品の持ち帰りや出前、宅配は対象になります。
年収500万円の世帯(2人以上)の場合、消費税がかかる1年間の支出額は278万円で、このうち約26%にあたる74万円が、軽減税率の対象になります。全ての対象に10%の税率が適用された場合、消費税の負担額は、年間27万8,000円と想定されますが、軽減税率によって1万5,000円少なくなります。消費税は、所得の水準に関係なく同じ税率が適用されるので、所得が少ない人ほど、負担感が大きくなる逆進性があるとされています。そのため、生活必需品の税率を据え置いて、消費者の増税負担を抑えることにしています。
標準税率が25%のスウェーデンは、食料品には12%、新聞や雑誌、書籍などには6%の税率を適用しています。フランスの標準税率は20%ですが、対象品目ごとに2.1%から10%まで3種類の軽減税率があります。英国は家庭用の電力の税率を5%、食料品や家庭用水道水の税率をゼロにしています。諸外国における軽減税率の導入は、標準税率が20%前後と高いため必要があると思われますが、日本の場合には、制度が分かりにくく導入による手間を考えると、必ずしも必要ないように思われますがいかがでしょうか?

(2019年9月26日 読売新聞)
(吉村 やすのり)

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